こんにちは、Mihoです。ここ南国宮崎も毎日寒い日々が続いていますね。

私達が身寄りも、仕事も、家も、おまけに長旅の後でお金もなく(笑)、カバン一つ身一つで長年暮らしたアメリカから宮崎に移住してから早くも8年の歳月が経ちました。
早いものです!

そしてこの8年、ブレットも私も幸運なことに英語講師というお仕事に就くことが出来ました。
講師という仕事を通して沢山の出会いがある事、そして目標に向かって一緒に時間を共有していける事にとても魅力を感じています。

けれど、私の人生初の講師経験は実はここ宮崎ではなくアメリカでした。
そしてそこでの思い出が今でも鮮明に残っていて、教える仕事って良いなと思わせてくれたきっかけでもありました。
今日はその時のエピソードを皆さんにお話ししたいと思います。

当時私はアート(写真)専攻の大学4年生でした。
毎日、遅くまで暗室にこもっては写真現像、制作活動、作品のプレゼン準備やフォトグラファーのアシスタントインターンシップに追われる貧乏学生でした。笑
その間に日本食レストランでウェイトレスとして働き、しかしそのバイトで稼いだお金も、画材道具やフィルムなんかにあっと言う間に消えていく毎日でした。

ある日、クラスメートから

「Miho、アルバイト興味ない?」

とお誘いがあり、どんな内容かと聞いてみると現地の公立小学校の課外授業で子供達と一緒に絵を描いたり、粘土でお面などの工作を教えたりするとの事。
けれどメインティーチャーの元でTA(Teacher’s assistant)として入るので心配いらないよ、との事でした。

「面白そう、やるー!」

二つ返事で仕事が決まりました。現地の公立小学校に出向くのはこの時がもちろん初めて。ワクワクドキドキ。

アメリカンキッズは。。。想像した通り、いや想像以上に元気ハツラツ。笑
もう、やんちゃだけど可愛いのなんのって。
アメリカ(カリフォルニア州)の課外授業は、5歳のプリスクールから6年生までサイエンスやアート、ミュージック、チェス、スポーツのクラスなど希望者は選択で取る事が出来ました。
初めは週1でTAとして入っていたのが、そのアートスクールの経営者が私の子供の扱いや子供達が懐いているのを見て、

「Mihoはこの仕事向いてるわね。もうちょっと手伝ってくれないかしら?」

と、週2、週3と増えていき、気が付けば週5日で毎日違う市内の小学校でアメリカの子供達にアートを教えるという、忙しいけれど充実した日々になっていました。
そしてそのうちの1校はTAではなく、何とメインティーチャーとして指導する事にいきなりなったのです。(汗)
しかもそこは他のスクールに比べ規模が小さいのでTAはつかず、私のみで派遣との事。。。

一抹の不安がよぎりました。
他のスクールはメインティーチャーが作品や手順を子供達に説明し(もちろん英語です)、TAは生徒達の補助として入るのが主だったのが、そこでは私一人で全てをこなさなくてはいけないという事を意味したからです。
クラスの中には言う事を聞かないやんちゃ坊主やおしゃべりが止まらないガールズ達をメインティーチャーが注意したりなど、楽しいだけでない苦労面も側で見てきただけに、自分1人で果たして勤まるのか、しかもネイティブの子供達相手に!

しかし大らかでスーパーポジティブな経営者は、

「大丈夫よ~!Mihoなら出来るわよ!」

と私の不安をよそに全く心配していません。笑
私の英語を子供達は理解してくれるのだろうか?
ちゃんと言う事聞いてくれるか?変な先生だと思われないか!?
バカにされないか?!?!
など色々考えましたが、えーいやってみなければ分からないや!と思い、引き受ける事にしました。

そしてそこから私と12人の子供達(5歳児~4年生のメンバー)とのアート授業の始まりでした。

今思い返してもあの時間はとっても特別で楽しいものでした。色々な思い出があるのですが、その中でも鮮明に覚えている事がいくつかあります。

まずは、初日にいきなり子供達に笑われたこと。笑

はい、想像した通り私の英語が間違っていたために見事に子供達に笑われてしまったのです。
その日は切り絵作成の日で、私が色紙を高く持ち上げて

「みんな良いですか~。紙を好きなように手でちぎって(tear)いくよ~。」

このセンテンスを言った瞬間、全員の顔がキョトンとなったのが分かりました。

そのとき、その中の一人が

「tear(ティア=涙)じゃなくて、tear(テア=ちぎる)でしょ、先生!色紙が涙を流してるみたいだよ!」

みたいな突っ込みが入り、全員が爆笑!

そう、私は引き裂くという意味のテアではなく、涙という意味のティアで発音していたのです。
その時、生まれて初めて「涙」と「ちぎる」の発音が違う事を知ったのです。つづりが同じでも発音が違う事を知らなかったのです。

そして私の目の前に座っている5歳児と6歳児が内緒ばなししながら、

「この先生は英語を話す人じゃないのよ。」
「アメリカで生まれてないのかな。」

などなど囁いている(つもり。しかし全て丸聞こえ。笑)のを聞きながら、この先生大丈夫~?的な視線を一斉に浴びつつ、さてどうするかな~と私が取った行動は、

「そう、皆もう気が付いてると思うけど、先生はアメリカ人じゃないんだよ。日本ていう遠い国に生まれたの。だから英語も間違えちゃうかもしれない。先生はtear(涙)とtear(ちぎる)の発音が違うの今まで知らなかったよ!みんな教えてくれてありがとう!!もしまた先生が間違った英語を使っていたら教えてね。」

とありのままの気持ちを子供達に伝えました。
そうしたら子供達は全員理解してくれて、そのままの私=ネイティブスピーカーではない私、をすんなり受け入れてくれて、その後は何事もなかったかのようにクラスに集中してくれたのです。

この出来事は私の中での大きなwake-up call(大切な気づきを与えてくれる出来事)となりました。

​純粋無垢な子供達だったからこそ、正面から間違いを指摘してくれたし、何より子供達の柔軟性に驚きました。
外国人だからというこだわりや偏見がなく、違うのであればその違いをそのまま受け入れてくれる。
もし彼らが私にあの時教えてくれなかったら、もしかしたら私は今でもtearの発音を知る事もなく同じ間違いを繰り返していたかもしれない。。。
私にとって一生忘れない大切な出来事です。tearの単語を見るたびに毎回微笑む自分がいます。

それが私と子供達のアートクラス第1日目でした。

長くなってしまったので、今日はここまで!
次回は先に出てきた、5歳児と6歳児のハプニングをお話ししたいと思います。笑

「海外留学 忘れられない講師経験 2」はこちらから。